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簡単発酵マットの作り方

 

1.発酵マット自作のススメ

良質な菌床や高栄養な発酵マットが簡単に手にはいるようになった今日、自作の発酵マットを作ってクワガタなどを育てている人は少なくなりました。クワガタ飼育の先駆者たちが必ず経験してきたこの自作発酵マットの作成ですが、「難しそう」「面倒くさい」「コバエが発生する」と言った理由で敬遠されているのが現状です。さらには、良質な発酵マットが専門店で安く購入できるのだから、自作する必要がないと言うのもその理由の一つのようです。

しかし、クワガタの幼虫を育てた後の菌糸カスを再利用するためや、菌糸に適応しない種において、既製のマットでは作出困難なサイズを育てたい場合など、発酵マットを自作するメリットは多いものです。また、発酵マットを作成すると言うことは、使用するオガの種類やブレンド割合、そこに加える添加物の種類や量、発酵過程の温度や湿度の管理などを考えることであり、クワガタの成長に必要なエサの状態を知り自らそれを再現することですから、クワガタ飼育の楽しみを大きく膨らませてくれることは確実です。

そこで本稿では、「失敗が少なく」「少量からでも作成可能で」「コバエ発生の心配がなく」「手間の少ない」発酵マットの作成方法を紹介し、少しでも多くの方に、自作発酵マットの作成を楽しんでいただきたいと思います。

2.発酵マット作成の問題点の整理

これまで紹介されてきた発酵マットの作成方法は、大きな衣装ケースである程度まとまった量を作成するものでした。これは、まとまった量で発酵させたほうが発酵が安定するためですが、この方法には以下のような問題点がありました。

@必要な量だけ作ることができない

A大きな衣装ケースの置き場にこまる

B撹拌作業が面倒

C失敗した時のリスクが大きい

Dフタに隙間のある衣装ケースではコバエが発生する

3.簡単な発酵マットの作成方法

(1)用意するもの

 <厚手のビニール袋>市販のマットが入っているようなものです。パッケージの専門店で入手できますが、ホームセンターなどで販売されている漬物用のものも利用できます。5〜10リットル程度の容量のものがよいでしょう。

<シーラー>ビニール袋の口を、熱によって封する道具です。2,0003,000円程度で入手でき、HHでも販売しています。

<針>マチ針が使いやすいでしょう。昆虫針を使う場合は、4号以上の太目のものが良いでしょう。

<マット>朽木マット・生オガ・菌糸カスなど、発酵マット作成のベースになるものならなんでもかまいません。

<添加物>薄力粉・フスマ・ビール酵母・グルタミン酸ナトリュウム・トレハロースなど、お好みで。

(2)仕込み

@     ビニール袋にマットと添加物を入れて、必要に応じて水を加えます。水分量は、適当に。手で強く握って、なんとか固まりが作れる程度の水分が適当ですが、多少なら多くても少なくても問題ありません。

A     ビニール袋の口を、シーラーなどで閉じます。完全に密封してください。後で通気のための針穴を開けますので、中に残った空気は、多くても少なくても問題ありません。

B     マットの入ったビニール袋に、針で穴を開けます。開ける量は、適当です。水分が多い場合には穴の数を多くして、水分が少ない場合には穴の数を少なめにします。穴は、マットを発酵させてくれる微生物に酸素を供給するための物ですから、ビニール袋全体にまんべんなく開けてください。このとき、あまり大きな穴を開けてしまうと、コバエの進入経路を作ってしまうことになりますので、針穴の大きさに注意が必要ですが、通常手に入りやすい針のサイズであれば、ほとんど問題ないと思います。

(3)管理

仕込みの完了したものはなるべく暖かい場所で保管し、時々コヅキ回して撹拌します。撹拌は、毎日でも良いし、数日に1度でもかまいません。発酵を早く完了させるには、温度の高いところに置いて毎日撹拌することです。

(4)完成

幼虫に与えられる状態に完成したかどうかは、マットの色と温度で判断します。マットの温度が安定し、黒っぽくなれば完成です。早い場合は3週間程度、遅くても多くの場合1月半ほどで完成するでしょう。マットが発酵しているときには、袋を触るとホンワカと暖かいのですが、発酵が完了すると、室温プラス1〜2℃程度で安定します。完成時の色は、仕込みのときよりもかなり黒っぽくなりますが、使用した材料によって黒っぽさの度合いがちがいますので、温度の安定を第一の目安にしてください。

(5)使用

発酵マットは、発酵が終了したように見えても、別の容器に移し替えると再発酵を始める場合があり、高温と酸欠で幼虫にダメージを与えてしまう危険がありますので、完成した(と判断した)マットは、幼虫を飼育する容器に移し替え、幼虫を飼育する場所に1日以上置いて、発熱しないかどうか様子を見ます。発熱が無ければ使用可能です。(慣れてきたら、袋からそのまま使ってしまいますが…)

4.いろいろなレシピと使用例

菌床よりもマットの方が合っていると思われる、ノコギリグワガタ・ミヤマクワガタなどには、朽木マットベースで添加物を加え、完成したらすぐに使用します。

生オガを少量ブレンドして作れば、オオクワガタやヒラタクワガタにも適した発酵マットになります。ネブトクワガタやツヤクワガタ・マルバネクワガタなどには、このレシピで完成後、1ヶ月程度そのまま熟成させて、真っ黒になってから使用すると良いでしょう。

オオクワガタなどの食べた後の菌糸カスを使う場合には、菌糸カスと同量かそれより少し少なめの朽木マットを混ぜて仕込みましょう。菌糸の残った白い部分が多い場合には、水分が多めになりやすいので、乾燥した朽木マットを混ぜて水分を調節します。菌糸カスベースの発酵マットは、外産カブトムシの幼虫飼育に定評があります。市販のカブトマットに、完成した発酵マットを混ぜて使っても良いでしょう。

菌糸カスから菌糸の残った白い部分を取り除き、茶色い糞の部分だけを集めて使えば、ネブトクワガタやツヤクワガタ・マルバネクワガタなどに最適なマットが完成します。

 

 

by.M-zoo

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